御の字だね

昨日、久しぶりに街に出てずっと気になっていた漫画を買いました。
施川ユウキ先生の『オンノジ』です。

オンノジ (ヤングチャンピオン・コミックス) (ヤングチャンピオンコミックス)

急に誰もいなくなった世界に、一人の女の子と一匹のフラミンゴが取り残されてしまった話。
いやあ、素晴らしかった…!

施川先生はギャグ漫画を描く人なので、ものすごく油断して読んでたらものすごい泣いた…!

オンノジも基本はギャグ漫画で、それもめちゃくちゃ面白いんだけど、切なさや不安の描き方、そして終盤の勢いと最終章の素晴らしい着地…!

施川先生のギャグ漫画は、基本的に我々の日常のなかでへんな発見をして、それにツッコミを入れるスタイルと認識していた。
(余談だけど、サナギさんという漫画では「どんなに無気力な人でも、山の上では位置エネルギーが凄い!」的な目からウロコの発見をしていた。それから私は元気がない時はなんとなく高い場所に登るようにしています。位置エネルギー的にはそりゃ元の位置に戻ったら意味ないんだけど、気の持ちようでなんか元気が出る気がするからオススメです笑)

ちょっと余談が長すぎたけど、そのギャグのスタイルは今回も健在で、それが結果としてこの作品の美しさの幹になっているような気がしてならない…!

とんでもないギャグとギャグの間に挟まって切なくなったり、不安になったり、ドキドキさせる場面があって、そこがこの作品の特徴であり、私が泣くポイントになっているのだけど…。その感情の動きはおそらく単体では成立しない。前後の日常のギャグパートあってこそ、と強く思った。

世界がいきなり変わってしまって、たった一人で不安になっても、自分の日常は続くし、それを楽しむしかない。
そうしていたら、誰かと出会って、ふたりでまた日常を楽しむしかない。
世界は理不尽で、神様は何もしてくれない事が多いから、そりゃ不安はたくさん襲ってくるけれど、自分達で少しでも日々に驚きを、変化を、楽しい日常を。

二人の過ごす日常がおもしろおかしく愛おしく、自然と二人のキャラクターが好きになるから、この話はより美しく見える。


そういえば、私は村上たかし先生の『ぱじ』という漫画が人生で3本の指に入るくらい好きなんだけど、そのスタイルと近いのだなと今思った。
楽しくおかしい日常をギャグで丁寧に描いて、時々ほろりとさせる。
きっと『オンノジ』が好きな人は『ぱじ』も好きだと思うなあ。

ぱじ―Momo‐chan’s grandfather“Paji” (1) (ヤングジャンプ・コミックス)